長期インターンを扶養内に収める計算は、どの「扶養」を守りたいかで上限が変わります。この記事では、19歳以上23歳未満の学生が、給与だけを受け取る場合で計算します。
年の上限を12で割るだけでは足りない理由
2026年分の主な上限は3つです。親の扶養控除の対象は給与136万円以下。親の健康保険の扶養は年間収入150万円未満。本人の所得税が0円になるのは給与178万円以下です。それぞれの意味は扶養と年収の壁の記事で説明しています。
これを12で割れば月の目安は出ます。ただし、それだけで安心はできません。理由は4つあります。
- 月によって働く日数が違う。週の勤務日が同じでも、5週ある月は給与が増える
- 時給が年の途中で上がる。最低賃金は毎年改定され、令和8年度は多くの都道府県で2026年10月以降に発効する
- 毎月の給与とは別のお金がある。賞与や手当が給与として払われると、その年の給与収入に入る
- 健康保険の扶養は、1年の合計ではなく、これからの見込みで判定される
4つ目が特に大事です。税金は1月から12月までの実際の給与で決まります。健康保険の扶養は、日本年金機構によると、過去の収入ではなく今後1年間の見込みで判定します。月の給与が上がった時点で、見込みが上限を超えることがあります。
月の目安の計算式
月の目安は、年の上限を12で割って出します。金額はすべて額面で、税金や社会保険料が引かれる前の額です。
| 守りたいもの | 年の上限 | 月の目安 |
|---|---|---|
| 親の扶養控除 | 136万円以下 | 113,333円 |
| 親の健康保険の扶養 | 150万円未満 | 125,000円未満 |
| 本人の所得税0円 | 178万円以下 | 148,333円 |
健康保険の扶養は、23歳の誕生日を迎える年からは年間収入130万円未満に戻ります。日本年金機構は、給与収入がある場合は月108,333円以下なら130万円未満の要件を満たすとしています。
- 108,333円健康保険の扶養(23歳の年から)月108,333円以下
- 113,333円親の扶養控除年136万円以下の月の目安
- 125,000円健康保険の扶養(19〜22歳の年)月125,000円未満
- 148,333円本人の所得税0円年178万円以下の月の目安
年の上限を12で割った額。健康保険の月108,333円は日本年金機構が示す額です。
親の扶養控除の136万円を超えても、159万円以下なら、親は特定親族特別控除で同じ63万円の控除を受けられます。超えたときに何が変わるかは扶養を外れるとどうなるかの記事にまとめています。
月ごとの差も見ておきます。時給1,280円で週15時間働くと、4週の月は76,800円、5週の月は96,000円です。1年では998,400円で、月平均は83,200円になります。1か月だけ目安を超えても、税金は1年の合計で判定されます。
\ 3か月続けたら、91日目に手当 /
継続手当つきの求人を探す時給別・週の上限時間の表
週に何時間まで働けるかは、年の上限を52週と時給で割って出します。式は「年の上限 ÷ 52週 ÷ 時給」です。時給1,280円なら、136万円 ÷ 52週 ÷ 1,280円で週20.4時間です。逆に、1,280円 × 20.4時間 × 52週 = 1,357,824円で、136万円以下に収まることを確かめられます。
時給1,280円は令和8年度の東京都の最低賃金と同じ額です。
| 時給 | 136万円以下 | 150万円未満 | 178万円以下 |
|---|---|---|---|
| 1,114円(福岡県の最低賃金) | 週23.4時間 | 週25.8時間 | 週30.7時間 |
| 1,177円(全国加重平均) | 週22.2時間 | 週24.5時間 | 週29.0時間 |
| 1,280円(東京都の最低賃金) | 週20.4時間 | 週22.5時間 | 週26.7時間 |
| 1,400円 | 週18.6時間 | 週20.6時間 | 週24.4時間 |
| 1,500円 | 週17.4時間 | 週19.2時間 | 週22.8時間 |
最低賃金の額は、令和8年度の地域別最低賃金です。福岡県は2026年10月4日、東京都は10月1日に発効しています。
たとえば時給1,280円で週3日・1日5時間なら、週15時間です。1年で998,400円で、どの上限にも余裕があります。週4日・1日5時間の週20時間なら1,331,200円で、136万円に近づきます。
表は1年中同じ時給で働く場合です。年の途中で時給が上がる人や、手当が出る人は、その分だけ上限の時間を短く見ておきます。時給の決まり方は長期インターンの時給の記事で説明しています。
健康保険の扶養は契約内容の見込みで判断される
日本年金機構は、2026年4月1日以後、労働条件通知書などの労働契約の内容から年間収入を見込む方法を始めました。給与収入だけの人が対象です。契約書の賃金から見込んだ年間収入が、19歳以上23歳未満なら150万円未満であれば、原則として扶養に入れます。
この方法での賃金には、諸手当と賞与も含まれます。次のような契約書では、この方法で判定できません。
- 扶養に入る日から数えて、契約期間が1年未満
- 労働時間が「シフト制による」とだけ書かれていて、はっきりしない
- 「通勤手当有」などとだけ書かれていて、手当の額がわからない
長期インターンでは、契約期間が3か月や6か月のこともあります。その場合はこの方法を使えず、従来どおり、過去と現在の収入などから今後1年間を見込みます。親の勤め先の健康保険が健康保険組合なら、組合の案内も確かめます。
年齢は、扶養に入る日が属する年の12月31日時点で判定します。2026年中に23歳になる人は、2026年の年間収入の要件が130万円未満です。
交通費・手当の扱い
交通費は、税金と健康保険で扱いが違います。所得税では、電車やバスの通勤手当は、もっとも経済的で合理的な経路の額まで非課税で、上限は1か月15万円です。非課税の分は、136万円や178万円の計算に入りません。
健康保険の扶養では、労働契約から見込むときの賃金に諸手当が含まれます。通勤手当が月1万円出るなら、年12万円が見込みに加わります。時給1,280円・週22.5時間で150万円未満に収めていても、この12万円を足すと超えます。
Day91に載る求人では、90日続けると91日目に企業から1万円以上の継続手当が出ます。給与として払われる場合は、その年の給与収入に入ります。上限ぎりぎりで働く人は、手当の額と支払月を企業に確かめ、その分を残しておきます。
年の途中から働き始めた場合
税金は、その年の1月から12月までに受け取った給与で決まります。年の途中から始めた人は、残りの月数で上限を割れます。
たとえば2026年10月から始めて、月20万円を3か月受け取ると、2026年の給与は60万円です。2026年分の税金の上限には届きません。
健康保険の扶養は違います。見込みで判定するので、月20万円の働き方が続くなら、1年の見込みは240万円です。年の途中から始めても、150万円未満の要件を満たさない見込みになります。
税金の計算では、どの年の収入になるかは給与の支給日で決まります。国税庁は、支給日が決まっている給与はその支給日に収入になるとしています。12月に働いた分が翌年1月に払われるなら、その分は翌年の収入です。年末に上限に近い人は、12月中に支給日が来る給与までを足して確かめます。
そのため、年の途中から始める人は、税金の上限は残りの月数で、健康保険の扶養は月の給与で考えます。健康保険の扶養に残りたいなら、始めた月から月125,000円未満に収めるのが目安です。日本年金機構は、年間収入が基準以上になると見込まれるときは、扶養から外す届出が必要としています。届出は親の勤め先を通じて出します。
自分の上限を決める順番は次のとおりです。
- どの扶養を守るかを親と決める。税金の扶養控除か、健康保険の扶養か
- 年の上限を12で割って月の目安を出し、52週と時給で割って週の時間を出す
- 交通費、手当、時給の改定の分を差し引いて、余裕を持たせる
- 毎月、給与明細の額面を1月から足して、上限との差を確かめる
この記事は、2026年10月2日時点で国税庁・日本年金機構・厚生労働省が公表している情報をもとにした一般的な説明です。月の目安と週の時間は、年の上限を割って出した計算上の値です。税や社会保険の扱いは、収入の種類や家族の状況で変わります。個別の状況は、税務署、年金事務所、親の勤め先の健康保険などに確認してください。



