時給は会社が決め、最低賃金が下限になる

雇用契約を結ぶ長期インターンでは、時給は会社が決めます。職種、仕事の難しさ、本人の経験などで差がつきます。

ただし、下限があります。最低賃金法により、会社は最低賃金額以上の賃金を払う必要があります。

最低賃金より低い時給を、学生と会社が合意して決めても、その部分は無効です。最低賃金と同じ額を決めたものとみなされます。差額は払われる必要があります。

地域別最低賃金を払わない会社には、50万円以下の罰金という罰則があります。

都道府県別の最低賃金(令和8年度)

最低賃金は毎年見直され、都道府県ごとに発効日が違います。下の表は、厚生労働省が公表している令和8年度(2026年度)の地域別最低賃金です。発効日より前は、改定前の額が使われます。

主な都道府県の地域別最低賃金(時間額)
都道府県令和8年度の額発効日改定前の額
北海道1,131円2026年10月1日1,075円
宮城1,098円2026年10月1日1,038円
埼玉1,196円2026年10月1日1,141円
千葉1,195円2026年10月1日1,140円
東京1,280円2026年10月1日1,226円
神奈川1,279円2026年10月1日1,225円
愛知1,195円2026年10月1日1,140円
京都1,180円2026年11月16日1,122円
大阪1,231円2026年10月1日1,177円
兵庫1,172円2026年10月1日1,116円
広島1,141円2026年10月11日1,085円
福岡1,114円2026年10月4日1,057円
全国加重平均1,177円−1,121円

たとえば福岡県では、2026年10月3日までは1,057円、10月4日からは1,114円が最低賃金です。京都府は11月16日から1,180円になります。

ほかの県の額は、出典の厚生労働省のページで確かめられます。

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最低賃金と比べるのは「時給そのもの」

時給が最低賃金以上かどうかを見るときは、払われた賃金の一部を除いて比べます。厚生労働省は、次の賃金を最低賃金の対象から外しています。

  • 臨時に払われる賃金(結婚手当など)
  • 1か月を超える期間ごとに払われる賃金(賞与など)
  • 所定労働時間を超えた労働への賃金(時間外の割増賃金など)
  • 所定労働日以外の労働への賃金(休日の割増賃金など)
  • 午後10時から午前5時までの労働のうち、通常の賃金を超える部分(深夜の割増賃金など)
  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
最低賃金と比べる賃金・比べない賃金

比べる

  • 決められた時間に働いた分の時給
  • 時給制なら、時給そのもの

比べない(足してはいけない)

  • 臨時に払われる賃金(結婚手当など)
  • 1か月を超える期間ごとの賃金(賞与など)
  • 時間外・休日・深夜の割増賃金
  • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当

出典:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」

時給制なら、時給がそのまま最低賃金以上であれば足ります。交通費や残業代を足して、ようやく最低賃金に届くという計算は認められません。継続手当のように、毎月の給与とは別に払われるお金がある求人でも同じです。時給そのものが最低賃金以上である必要があります。

リモートで働く場合

フルリモートでは、自分が住んでいる県と会社のある県が違うことがあります。厚生労働省のテレワークガイドラインは、働く場所に関わらず、その人が属する事業場がある都道府県の最低賃金が適用されるとしています。

たとえば、東京都の事業場に属して福岡県の自宅で働くなら、東京都の最低賃金が下限です。

試用期間がある場合

試用期間中だけ時給を下げる求人もあります。ただし、最低賃金より下げられるのは、会社が都道府県労働局長の許可を受けた場合だけです。最低賃金法第7条の減額の特例です。

許可がなければ、試用期間中でも最低賃金以上が必要です。試用期間の長さと、その間の時給は、労働条件通知書で確かめます。

最低賃金が上がったとき

最低賃金が改定されると、発効日から新しい額が下限になります。東京都で時給1,250円の契約なら、2026年9月30日までは最低賃金1,226円を上回っています。10月1日からは最低賃金が1,280円なので、時給を1,280円以上に上げる必要があります。

発効日のあとの給与明細で、時給が新しい最低賃金以上になっているかを確かめます。

日給や月給で払われる場合

時給ではなく、日給や月給で払う求人もあります。厚生労働省は、次の式で時間額に直して最低賃金と比べるとしています。

  • 日給制:日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
  • 月給制:月給 ÷ 1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

たとえば日給6,000円で1日5時間働くなら、時間額は1,200円です。東京都の2026年10月1日以後の最低賃金1,280円を下回ります。

給料の受け取り方のルール

労働基準法には「賃金支払いの5原則」があります。賃金は、通貨で、全額を、労働者に直接、毎月1回以上、一定の期日に払われる必要があります。口座振込は、本人が同意した場合に認められます。

遅刻などの規律違反を理由に、就業規則にもとづいて減給されることはあります。ただし、1回の減給は平均賃金の1日分の半額まで、総額は1回の賃金支払期の10分の1までと決まっています。

時給の計算例

時給から、月にいくらになるかを計算してみます。東京都の最低賃金1,280円で、週3日・1日5時間働く場合です。

1週間の賃金の計算
1,280円時給(東京都の最低賃金)15時間週3日・1日5時間19,200円1週間の賃金
時給1,280円・週3日・1日5時間の場合(4週で計算)
期間働く時間賃金
1週間15時間19,200円
4週間60時間76,800円
52週間780時間998,400円

実際の月給は、その月の出勤日数で変わります。1年間の合計は、税金や扶養に関わります。年収の目安はインターンの扶養と年収の壁の記事で確かめてください。

時給以外に見るべき条件

同じ時給でも、条件によって受け取る額や働きやすさは変わります。求人と労働条件通知書で、次の点を確かめます。

交通費(通勤手当)

通勤手当を出すかどうか、上限額はいくらかは、会社ごとに決まります。週3日出社する求人と、フルリモートの求人では、交通費の負担が大きく違います。

所得税では、電車やバスの通勤手当は、もっとも経済的で合理的な経路の額まで非課税です。上限は1か月15万円です。

一方、健康保険の扶養の判定では、日本年金機構が、労働契約で年間収入を見込むときの賃金に諸手当も含めるとしています。通勤手当の額が書かれていない契約書では、その判定方法が使えないとも説明しています。税と社会保険で扱いが違う点に注意します。

研修やミーティングの時間

厚生労働省のガイドラインは、参加が業務上義務づけられている研修や、会社の指示で業務に必要な学習をした時間を、労働時間として扱うとしています。

最初の研修期間や、毎週の定例ミーティングが、時給の対象になっているかを確かめます。

残業と深夜の割増

1日8時間または週40時間を超えると、通常の賃金の25%以上の割増賃金が出ます。午後10時から午前5時までの深夜も25%以上の割増です。長期インターンでも同じルールが使われます。

時給1,280円の人が、1日8時間を超えて1時間働いた場合、その1時間の賃金は25%増しで1,600円以上になります。

昇給のルール

続けると時給が上がるかどうかは、会社ごとに違います。面接で「時給が上がる条件はありますか」と聞くと、評価の仕方も見えてきます。

週の日数と1日の時間

時給が高くても、週に入れる時間が少なければ、月の賃金は増えません。反対に、週4日以上を求められると、授業との両立が難しくなります。自分が続けられる日数で比べます。

継続手当

Day91に載る求人では、3か月(90日)続けると、91日目に企業から1万円以上の継続手当が出ます。手当は求人を出している企業が自社の制度として学生に直接払い、Day91はお金を預かりません。

手当の額や支払いの条件は求人ごとに違います。応募する前に、求人ページで額と条件を確かめます。

求人一覧では、最低時給、週の日数、リモートの可否、手当の最低額で絞り込めます。

2つの求人を比べる例

時給だけで比べると、手元に残る額を見誤ることがあります。次の2つの求人を、週3日・1日5時間で比べてみます。

時給が高い方が得とは限らない

求人A:時給1,300円・フルリモート

  • 1週間の賃金 19,500円
  • 交通費はかからない
  • 手元に残る額 19,500円

求人B:時給1,350円・週3日出社

  • 1週間の賃金 20,250円
  • 交通費は自己負担で往復500円
  • 手元に残る額 18,750円
時給と交通費で比べる例(週3日・1日5時間)
求人A求人B
時給1,300円1,350円
働き方フルリモート週3日出社
交通費かからない自己負担で往復500円
1週間の賃金19,500円20,250円
交通費を引いた額19,500円18,750円

この例では、時給の高い求人Bの方が、交通費を引くと週750円少なくなります。移動の時間も考えると、差はさらに広がります。交通費が支給されるなら、結果は変わります。

時給の条件で困ったとき

時給が最低賃金を下回っている、払われる日が守られないといったときは、都道府県労働局や労働基準監督署に相談できます。全国の労働局などにある総合労働相談コーナーは、相談が無料です。

長期インターンそのものの仕組みは長期インターンとはの記事で説明しています。