採用費用は3つに分けて考える
長期インターンの費用は、媒体費・人件費・教育コストの3つに分かれます。見積もりで抜けやすいのは、後の2つです。
| 費用 | 中身 | いつ発生するか |
|---|---|---|
| 媒体費 | 求人サイトの掲載料、成果報酬、職業紹介の手数料 | 掲載中、または採用決定時 |
| 人件費 | 時給、労災保険料、交通費などの手当 | 勤務が始まってから毎月 |
| 教育コスト | 指導役の社員が使う時間、面接の時間 | 選考中と受け入れ直後に多い |
媒体費だけを比べると、採用1人あたりの本当の費用は見えません。3つを合計し、続いた人数で割って考えます。
人件費:時給と保険料
時給は最低賃金を下回れない
有給の長期インターンで雇用契約を結ぶなら、時給は地域別最低賃金以上にします。最低賃金は毎年改定されます。
厚生労働省が公表した2026年度(令和8年度)の一覧では、答申された改定額の全国加重平均は1,177円です。東京都は1,280円、大阪府は1,231円で、どちらも発効日は2026年10月1日です。
発効日は都道府県ごとに違います。一覧では2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効します。勤務地の金額と発効日は、必ず一覧で確かめてください。
保険料は労災保険が中心になる
労災保険は、パートやアルバイトを含む全ての労働者が対象です。保険料は全額を事業主が負担します。2026年度の労災保険率は事業の種類ごとに決まっていて、たとえば「その他の各種事業」は1,000分の3です。
雇用保険と健康保険・厚生年金保険は、昼間に大学へ通う学生の場合、原則として対象になりません。ただし例外があります。詳しくは長期インターンの労働法チェックリストで整理しています。
計算例
仮に、時給1,300円で週15時間、13週(約3か月)働いてもらうとします。賃金は1,300円×15時間×13週で253,500円です。労災保険率が1,000分の3なら、この賃金に対する保険料は約760円です。
労災保険料(1,000分の3なら約760円)と交通費などの手当は別に加わる
ここに交通費などの手当が加わります。数字はあくまで計算の型です。自社の時給と勤務時間に置き換えてください。
交通費を払う場合、通勤手当は最低賃金の計算に含まれません。時給だけで最低賃金を満たしたうえで、交通費を別に見積もります。
継続手当を設けるなら人件費に入れる
3か月続けた人に継続手当を払う制度をつくるなら、その手当も人件費です。たとえば1万円の手当なら、3か月続いた人1人につき1万円が加わります。辞めた人には発生しないため、続いた人にだけかかる費用になります。
継続手当は賃金として払うため、源泉徴収や労働条件通知書への記載も必要です。法律上の扱いはインターンの手当と法律で説明しています。
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Day91の掲載について見る教育コスト:社員の時間を数える
インターン生の受け入れでは、社員の時間が使われます。面接、初日の説明、毎週の振り返り、仕事の確認などです。
教育コストは「指導役が使う時間×その社員の時間あたりの人件費」で見積もれます。最初の1か月に時間が集中し、仕事に慣れると減っていくのが普通の形です。
選考にも社員の時間がかかります。書類を読む時間、面接の時間、日程調整の時間です。応募が多くても採用に至らなければ、この時間は費用として残ります。求人票で条件をはっきり書くと、合わない応募が減り、選考の時間も減ります。
このため、途中で辞められると教育コストは回収できません。採用費を下げる一番の近道は、採った人に続けてもらうことです。定着の仕組みは長期インターンが辞める理由と定着の仕組みにまとめています。
媒体費の料金体系は大きく4つ
学生を集める手段の料金は、おおむね次の4つの形に分かれます。どれが安いかは、採用人数と期間で変わります。
| 料金体系 | お金が発生する時点 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 掲載課金(定額) | 掲載期間に応じて発生する | 複数人を続けて採りたい。費用を固定したい |
| 成果報酬 | 採用が決まった時点などで発生する | 採用人数が少ない。採れなければ払いたくない |
| 無料掲載+有料オプション | 掲載は無料。広告を出した分だけ発生する | まず無料で試したい。予算を自分で調整したい |
| 職業紹介(人材紹介) | 紹介で就職が決まった後に手数料が発生する | 候補者の選定まで任せたい |
掲載課金は、何人採っても費用が同じです。採用人数が増えるほど1人あたりの費用は下がります。一方で、採れなかった月も費用はかかります。
成果報酬は、採れなければ費用がかかりません。その代わり、何をもって「採用」とするかで請求額が変わります。契約前に定義を確かめます。
掲載課金(定額)
- 何人採っても費用は同じ
- 採るほど1人あたりの費用が下がる
- 採れなかった月も費用がかかる
成果報酬
- 採れなければ費用はかからない
- 「採用」の定義で請求額が変わる
- 契約前に定義を確かめる
職業紹介の手数料は、職業安定法で形が決まっています。厚生労働省令で定める上限の範囲で取る「上限制手数料」と、厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく「届出制手数料」です。
職業紹介と求人サイトは法律上の位置づけが違う
職業安定法は、求人と求職の申込みを受けて雇用関係の成立をあっせんすることを「職業紹介」と定めています。一方、募集の情報を求職者に提供する事業は「募集情報等提供」です。求人サイトの多くは後者に当たります。
どちらに当たるかで、守るべきルールが変わります。たとえば職業紹介の手数料には、上で触れた上限制と届出制の決まりがあります。契約前に、相手がどちらの事業として料金を取っているかを確かめておくと、請求の根拠が分かりやすくなります。
職業紹介
- 雇用関係の成立をあっせんする
- 手数料は上限制か届出制
募集情報等提供
- 募集の情報を求職者に提供する
- 求人サイトの多くはこちら
出典:職業安定法
公式ページで確認できた料金の形
各サービスの公式ページを2026年10月2日に確認しました。金額が公式ページに出ていないサービスは、金額を書いていません。
| サービス | 料金の形 | 公式ページでの金額の記載 |
|---|---|---|
| ハローワーク | 無料で求人を公開できる | 無料と記載 |
| Indeed | 基本的に求人の投稿から採用まで無料。有料オプションのスポンサー求人はクリック課金。採用成功報酬と掲載費はなし | クリックの単価の記載なし |
| Wantedly | 成果報酬なしと記載 | 料金表は資料のダウンロードで案内 |
| ゼロワンインターン | 成果報酬プランと広告掲載プランの2つ | 金額は料金資料・問い合わせで案内 |
| Infra | サブスクリプションプランとデポジットプランの2つ | 企業情報の入力後に料金を表示 |
| Day91 | 掲載課金(月額固定)。成果報酬・初期費用なし。掲載を始めた月は請求なし | 月19,800円(税込) |
料金や条件は変わることがあります。申し込む前に、各社の最新の案内を確かめてください。
契約前に確かめること
2025年4月から、職業安定法の指針が改正されました。求人サイトなどの募集情報等提供事業者と職業紹介事業者は、料金や違約金の額、発生する条件、解除方法を、書面や電子メールなどで事前に分かりやすく示すことになりました。
厚生労働省の案内では、ホームページの該当箇所を教えるだけの方法は、適切な明示とはいえないとされています。手元に残る形で受け取り、次の点を確かめます。
- 月額か成果報酬か。成果報酬なら、何をもって「採用」とするか
- 最低契約期間と、自動更新の有無
- 解約の方法と、いつまでに申し出ればよいか
- 違約金が発生する条件(応募者を別の経路で採用した場合など)
- 無料期間があるなら、いつから有料になるか
- 短期間で辞めた場合の返金の有無
職業紹介を使う場合は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」も役に立ちます。2025年4月からは、職業紹介事業者が職種別の平均手数料率の実績をこのサイトに載せることになりました。
見積もりを作る手順
- 今後1年で、何人のインターン生に何か月働いてもらいたいかを決める
- 勤務地の最低賃金を確かめ、時給と週の勤務時間を決める
- 時給×勤務時間×週数で賃金を出し、労災保険料と交通費を足す
- 指導役が週に何時間使うかを決め、教育コストを出す
- 媒体ごとに、1年間の媒体費を料金体系に沿って計算する
- 3か月以上続く人数の見込みで割り、1人あたりの費用を比べる
続く人数の見込みは、最初は仮の数字で構いません。実際に採用してみて、半年ごとに見直します。
1人あたりの採用費で比べる
最後に、媒体費と教育コストを足し、3か月以上続いた人数で割ります。これが続いた人1人あたりの採用費です。
掲載料が安くても、すぐ辞められれば1人あたりの費用は上がります。比べるときは、料金表の数字だけでなく、続く人を採れる仕組みがあるかも見てください。求人票の書き方は長期インターン求人の書き方で解説しています。
Day91の料金
Day91は、有給の長期インターンだけを載せる求人サイトです。載るのは、時給が出て、3か月(90日)続けると91日目に企業から1万円以上の継続手当が出る求人だけです。掲載料は月19,800円(税込)です。成果報酬はなく、掲載を始めた月は請求しません。詳しくは企業向けの案内をご覧ください。



