求人サイト以外の主な経路
インターンの採用方法を考えるとき、求人サイト以外には主に4つの経路があります。大学のキャリアセンター、社員やインターン生からの紹介、説明会やイベント、自社サイトやSNSです。
職業安定法は、労働者の募集を「文書募集」「直接募集」「委託募集」の3つに分けて扱います。厚生労働省の「募集・求人業務取扱要領」によると、文書募集と直接募集は原則として自由に行えます。インターネットを使った募集も文書募集として扱われます。
一方、自社の社員以外の人に募集をしてもらう委託募集は、許可か届出が必要です。どの経路を使うかで、この区分が変わります。
学生に応募を勧めるのは誰か
出典:職業安定法、厚生労働省「募集・求人業務取扱要領」
求人サイトや人材紹介の料金の比べ方はインターン採用の媒体の選び方で扱っています。この記事では、それ以外の経路に絞ります。
大学のキャリアセンターに求人を出す
大学などの学校は、厚生労働大臣に届け出て、自校の学生について無料の職業紹介事業を行えます(職業安定法33条の2)。大学のキャリアセンターが求人を受け付けるのは、この仕組みによるものです。
受け付ける窓口、求人票の様式、アルバイトや長期インターンの求人を扱うかどうかは、大学ごとに違います。出す前に、各大学の企業向けページで受付の条件を確かめます。
- 勤務地から通いやすい大学を選ぶ
- 授業期間と試験期間の勤務の扱いを求人票に書く
- 勤務できる曜日と時間帯を具体的に書く
- 受付の締切と、掲載が続く期間を確かめておく
求人票には、職業安定法で明示が求められる労働条件を書きます。業務の内容、契約期間、就業場所、始業と終業の時刻、休日、賃金などです。キャリアセンターの様式に欄がない項目は、備考欄か別紙で補います。
キャリアセンター経由の応募は、学生が大学の窓口で求人を見て申し込む流れになることが多い経路です。応募の受付先と、問い合わせの連絡先を求人票にはっきり書いておくと、学生が迷いません。
キャリアセンターとの関係は、一度出して終わりにしないほうが続きます。採用した学生の在籍や、学業との両立の状況を、本人の了解を得たうえで次の求人の際に伝えると、窓口の担当者も学生に紹介しやすくなります。
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Day91の掲載について見る社員・インターン生からの紹介(リファラル)
リファラル採用は、社員やインターン生が知り合いの学生に応募を勧める方法です。要領は、被用者を「事業主と雇用関係にある者」としています。雇用しているインターン生も被用者です。自社の被用者が募集を行うので、直接募集に当たります。
紹介者には、仕事の内容、時給、勤務時間などを求人票と同じ内容で伝えてもらいます。職業安定法5条の3は、労働者の募集を行う者に、業務の内容と賃金、労働時間などの労働条件の明示を求めています。口頭の説明と書面の条件がずれると、入社後の不満につながります。
紹介者が応募者から謝礼を受け取ることも禁じられています。職業安定法39条は、募集を行う者が、募集に応じた労働者から、いかなる名義でも報酬を受けてはならないと定めています。
紹介を続けてもらうには、運用の決まりも要ります。次の点を先に決めておくと、紹介者と応募者の両方が気まずくなりません。
- 紹介は応募の入口にとどめ、選考は通常の応募と同じ基準で行う
- 合否は紹介者を通さず、会社から本人に直接伝える
- 応募者の選考の評価を、紹介者に伝えない
- 紹介者に、知人の連絡先を会社へ渡す前に本人の了解を取ってもらう
説明会・イベント
学内の説明会、自社オフィスでの説明会、オンラインの座談会も、学生と直接話せる経路です。社員が学生に話しかけて応募を勧めるので、直接募集に当たります。
2026年10月1日から、男女雇用機会均等法13条により、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主の義務になりました。厚生労働省のパンフレットは、求職活動等の例に、企業の就職説明会への参加やインターンシップへの参加を挙げています。
パンフレットの取組例には、面談の時間と場所の指定、実施体制、やり取りに使うSNSの種類の指定などのルールを決めて、社員と求職者等に知らせることがあります。イベントを開く前に、相談窓口と連絡手段のルールを決めておきます。社内の体制づくりは長期インターンのパワハラ防止で説明しています。
イベントの後に応募が来るかどうかは、当日の終わりに次の行動を示せるかで変わります。応募の方法、締切、選考の流れを1枚にまとめ、参加者に渡します。その場で個人情報を集める場合は、利用目的を伝えてから受け取ります。
自社サイト・SNSでの募集
自社の採用ページやSNSでの募集は、文書募集に当たります。費用をかけずに始められますが、書き方のルールがあります。職業安定法5条の4は、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示を禁じ、募集の情報を正確かつ最新の内容に保つよう求めています。
職業安定法に基づく指針は、具体的に次のことを挙げています。
- 賃金を、実際より高額であるかのように表示しない
- 職種や業種に、実際の業務と著しく離れた名称を使わない
- 募集を終えたり内容を変えたりしたら、情報の提供を速やかに終えるか、変更する
- 情報がいつ時点のものかを明らかにする
SNSの投稿は、古いものが残りやすい媒体です。募集を締め切ったら、その旨を投稿に追記するか、投稿を削除します。2024年4月からは、業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期契約を更新する場合の基準も、募集時に明示する事項に加わりました。
| 経路 | 先に用意するもの | 向いている場面 |
|---|---|---|
| キャリアセンター | 大学ごとの様式の求人票 | 通いやすい大学の学生に届けたい |
| 紹介 | 紹介者に渡す条件の書面 | 社内の雰囲気を知った人に来てほしい |
| 説明会・イベント | 相談窓口と連絡手段のルール | 仕事内容を直接説明したい |
| 自社サイト・SNS | 情報の時点と締切の書き方 | 継続して発信できる |
紹介報酬を払う時の注意(職業安定法40条)
紹介してくれた社員やインターン生にお礼を払う会社もあります。ここで関係するのが職業安定法40条です。
職業安定法40条(要旨):労働者の募集を行う者は、その被用者で募集に従事する者や募集受託者に対し、賃金、給料その他これらに準ずるものを支払う場合と、厚生労働大臣の認可を受けた報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。
つまり、自社の社員やインターン生に払うなら、賃金として払う形にします。紹介手当を制度にするなら、支給の条件、金額、支払日を決め、就業規則や賃金規程に書きます。常時10人以上の労働者を使う事業場では、臨時の賃金等の定めは就業規則の記載事項です(労働基準法89条4号)。
賃金として払う紹介手当は、給与等として所得税の源泉徴収の対象になります(所得税法28条・183条)。払った額は賃金台帳に記録します。紹介の対象をインターン生にも広げるなら、インターン生の労働条件通知書にも同じ条件を書いておくと、支給の判断で迷いません。
社員ではない人に報酬を払って募集を頼むと、委託募集になります。職業安定法36条により、厚生労働大臣の許可を受け、報酬の額についても認可を受ける必要があります。学生の友人や外部の個人に、紹介1件いくらで謝礼を払う形は、この規定に当たらないか確かめてから始めます。
- 1支給の条件・金額・支払日を決める対象は自社の社員とインターン生
- 2就業規則や賃金規程に書く常時10人以上の事業場は記載事項
- 3紹介者に、求人票と同じ条件を伝えてもらう
- 4給与として払い、賃金台帳に記録する
応募した学生本人にお金を渡す仕組みを考える場合は、別の論点があります。求人サイトなどの仲介事業者が求職者に渡すお祝い金の扱いは、インターンの手当と法律で説明しています。
この記事は、2026年10月2日時点の法令と厚生労働省の公表資料をもとにした一般的な説明です。紹介報酬や委託募集が許可・届出の対象になるかなど、個別の状況は都道府県労働局・ハローワーク・社会保険労務士に確認してください。
経路ごとの結果を記録する
複数の経路を使うときは、応募がどこから来たかを記録します。応募フォームに、この求人を知ったきっかけを選ぶ欄を入れておくと集計しやすくなります。
記録する項目は、応募数、面接に進んだ数、採用した数、3か月後も続いている数の4つで足ります。人数が少ないうちは割合で比べず、一人ひとりがどの経路から来て、どれくらい続いたかを見ます。続いた人が多い経路が分かれば、次の募集でその経路に時間を多く割けます。反対に、応募は多くても面接に進まない経路は、求人票の書き方か届け先を見直します。
求人サイトと組み合わせる
ここで挙げた経路は、どれも学生が会社を知っていることが前提になりやすい方法です。会社を知らない学生にも届けたいときは、求人サイトと組み合わせます。
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