3省合意で学生情報を採用に使える条件

インターンからの採用で最初に確かめるのは、インターンで得た学生の情報を選考に使えるかどうかです。文部科学省・厚生労働省・経済産業省は、2022年6月に「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」(いわゆる3省合意)を改正しました。

改正で、学生のキャリア形成支援の取組は4つの類型に整理されました。タイプ1はオープン・カンパニー、タイプ2はキャリア教育、タイプ3は汎用的能力・専門活用型インターンシップ、タイプ4は高度専門型インターンシップ(試行)です。インターンシップと呼ぶのはタイプ3と4です。

一定の基準を満たすタイプ3で得た学生情報は、広報活動と採用選考活動の開始時期以降に限って使えます。卒業・修了の前年次の2月末までは使えません。前年度の3月以降は広報活動に、卒業・修了年度の6月以降は採用選考活動に使えます。この扱いは、2025年3月に卒業・修了する学生が2023年度に参加するインターンシップから適用されています。

タイプ3で得た学生情報を使える時期
  1. 1卒業前年次の2月末まで広報・選考に使えない
  2. 2卒業前年次の3月1日から広報活動に使える
  3. 3卒業年次の6月1日から採用選考活動に使える
  4. 4卒業年次の10月1日から正式な内定日

学部生の場合。出典:3省合意 別紙2、内閣官房 就職・採用活動日程に関する考え方

タイプ3の基準に当たらない取組で得た情報は、原則として広報活動にも採用選考活動にも使えません。ただし、学生が自分で出したエントリーシートや成績表などに、取組への参加の事実やフィードバックの結果が書いてある場合は、ほかの書類と同じように選考に使って差し支えないとされています。

長期インターンが条件に当てはまるか

3省合意の別紙は、タイプ3の要件を次の5つにまとめています。

  • 就業体験:実施期間の半分を超える日数を、職場での就業体験に充てる
  • 指導:職場の社員が学生を指導し、終了後にフィードバックを行う
  • 実施期間:汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上
  • 実施時期:大学の正課と博士課程を除き、学部3年・4年または修士1年・2年の長期休暇期間に行う
  • 情報開示:採用活動開始以降に限り学生情報を活用する旨などを、募集要項に書いてホームページ等で公表する

長期インターンは、就業体験と期間の要件は満たしやすい形です。引っかかりやすいのは実施時期です。学期中も続けて働く長期インターンや、1年生・2年生から始めた長期インターンは、長期休暇期間という要件に当てはまりません。

このため、長期インターンで社内に蓄えた評価を、そのまま早い時期の選考に使うのは避けます。本人が選考の書類にインターンの経験を書いてきた場合は、その書類を評価に使えます。

長期インターンで得た評価を選考に使えるか

その情報はどう得たものか

タイプ3の5要件を満たし、募集要項で活用を示した3月から広報、6月から選考に使える
学生が自分で出した書類に、参加の事実や評価が書いてあるほかの書類と同じように使える
学期中の勤務など、要件に当たらない取組で会社が得た広報・選考に使えない

3省合意は、インターンシップを行う企業で労働関係法令が守られる必要があるともしています。有給の長期インターンは雇用契約です。採用につなげる前提として、最低賃金や労働条件の明示などは長期インターンと労働法のとおり整えておきます。

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就活日程の要請との関係

政府は毎年度、就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議で日程を決め、経済団体などに要請しています。2027年度に卒業・修了する予定の学生(2028年3月卒業)の日程は、次のとおりです。

  • 広報活動の開始:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
  • 採用選考活動の開始:卒業・修了年度の6月1日以降
  • 正式な内定日:卒業・修了年度の10月1日以降

連絡会議の資料は、この要請が企業の採用活動を法的に拘束するものではないと明記しています。一方で、学生が学業に専念できる環境のために、日程を守るよう改めて要請しています。専門活用型インターンシップ(実施期間は2週間以上)に参加した人について、採用選考活動の開始時期の例外を設ける扱いは従前どおりとされました。

2028年度(2029年3月)以降に卒業する学生の日程は、見直しの検討を進めるとされています。いわゆるインターン採用解禁のような変更があるかどうかは、毎年度の連絡会議の決定で確かめます。

日程に沿うなら、インターン生への動きは次の順になります。卒業前年次の3月に広報活動が始まったら、インターン生にもほかの学生と同じ方法で新卒採用を知らせます。厚生労働省のリーフレットは、学生は採用選考活動の開始時期以降に、改めて選考のためのエントリーが必要としています。卒業年次の6月から、ほかの応募者と同じ手順で選考します。10月1日以降に正式な内定を出します。インターン生だけを早い時期に選考する早期採用は、この日程との関係を説明できる形にしておきます。

内定の出し方と書面

厚生労働省のパンフレットは、裁判例を引いて、採用内定通知のほかに特段の意思表示が予定されていない場合は、内定通知によって始期付きで解約権を留保した労働契約が成立するとしています。内定は、口約束ではなく契約の一歩として扱います。

内定を出すときは、入社後の労働条件を書面で示します。労働基準法15条は、労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの条件を明示するよう求めています。インターン中の時給や勤務時間とは条件が変わるので、入社後の条件を改めて書きます。

内定の通知には、次の項目を入れておくと、後で解釈がずれません。

  • 入社予定日
  • 入社後の労働条件(別紙の労働条件通知書で示す)
  • 卒業できなかった場合など、内定の前提となる条件
  • 内定を承諾する返事の方法と期限
  • 入社までの連絡窓口

承諾の期限は、学生がほかの選考の結果も見て判断できる長さにします。期限を極端に短くして返事を迫ると、後で述べるオワハラと受け取られるおそれがあります。

新卒の募集では、青少年雇用情報の提供も必要です。青少年の雇用の促進等に関する法律13条により、卒業見込みの学生を対象に募集する会社は、募集や採用の状況、研修の状況などの情報を提供するよう努め、応募した学生から求められたら提供しなければなりません。

在学中の雇用から入社への切り替え

インターン中の雇用契約と、入社後の雇用契約は、条件が大きく変わります。切り替えの段取りを内定の時点で決めておきます。

インターン生が入社するまでの段取り
  1. 1内定を出し、入社後の労働条件を書面で示す
  2. 2卒業までの勤務の条件を決める学業を優先する
  3. 3インターン中の手当の支給条件を確かめる
  4. 4入社日に新しい条件で契約を始める保険の手続きを見直す

卒業までインターンを続ける場合は、卒業論文や試験と重なる時期の勤務を減らせるようにします。内定を理由に勤務時間を増やすよう求めると、学業との両立を妨げます。

雇用保険は、昼間の学生は原則として被保険者になりません。ただし雇用保険法施行規則3条の2は、卒業を予定していて、卒業後も引き続き同じ事業に雇用されることになっている人を、この除外から外しています。週の所定労働時間などほかの要件も合わせて、内定を出した時点で加入の要否を確かめます。

年次有給休暇の継続勤務の考え方にも注意します。厚生労働省のリーフレットは、継続勤務を事業場での在籍期間とし、勤務の実態に即して実質的に判断するとしています。インターンから間を空けずに入社する場合、勤続期間の数え方を社内で決めておきます。

インターン中に継続手当などの手当を決めているなら、入社で契約が変わっても、条件を満たした分は約束どおり払います。

入社後の仕事の内容も、インターン中と同じとは限りません。正社員として任せる範囲、配属先、評価の方法を内定の時点で話しておきます。インターン中の評価をもとに配属を決めるなら、その理由も伝えます。試用期間を設けるかどうかも、インターンでの勤務の長さを踏まえて決めておくと、本人が入社後の見通しを持てます。

内定辞退・内定取消しの扱い

学生が内定を辞退することもあります。期間の定めのない雇用では、民法627条により、解約の申入れの日から2週間で雇用が終了します。青少年雇用の指針は、労働契約が成立したと認められる内定者に、自由な意思決定を妨げるような内定辞退の勧奨をしないよう求めています。

他社の選考を受けないよう迫ることも避けます。連絡会議は、学生の職業選択の自由を妨げる、いわゆるオワハラの防止を関係者に要請しています。インターンで関係ができている学生ほど、断りにくさを感じやすい点に気をつけます。

辞退の連絡を受けたら、インターンとしての勤務を続けるかどうかも本人に確かめます。新卒の入社を断ることと、在学中のインターンを辞めることは別の話です。続けたいと言われた場合に、辞退を理由に仕事を減らすことは避けます。

内定取消しは、さらに重く扱われます。指針は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない内定取消しは無効とされることに留意し、取消しを防ぐため最大限の努力をするよう求めています。

やむを得ず新規学卒者の内定を取り消すときは、職業安定法施行規則35条により、あらかじめ公共職業安定所と学校の長などに通知します。厚生労働省は、取り消す前にまず労働局・ハローワークに相談するよう呼びかけています。

この記事は、2026年10月2日時点の法令と、3省合意・政府の要請などの公表資料をもとにした一般的な説明です。内定の法的な扱いや保険の手続きなど、個別の状況は都道府県労働局・ハローワーク・社会保険労務士・弁護士に確認してください。

学生の側から見た流れは長期インターンからそのまま就職する方法で説明しています。入社前から長く続いてもらう仕組みは長期インターンの定着が参考になります。

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