長期インターンからそのまま就職はできるが、ルールがある

長期インターン先の会社に、そのまま就職することはできます。働く中で会社の仕事や人を知り、会社も本人の働き方を見ているので、お互いに判断しやすいからです。

ただし、新卒の採用には、守るよう求められているルールが2つあります。1つは、インターンシップで会社が得た学生の情報を、採用にいつから使えるかのルールです。もう1つは、広報や選考、内定をいつから始めるかの日程です。

どちらも、知らないまま進むと、内定の時期や条件で迷うことになります。順番に説明します。

インターンの情報を採用に使えるルール(3省合意)

文部科学省・厚生労働省・経済産業省は、インターンシップの扱いをまとめた「基本的考え方」(3省合意)を、2022年6月に改正しました。改正後は、一定の基準を満たすインターンシップで企業が得た学生の情報を、広報活動や採用選考活動に使えるようになりました。2025年3月に卒業・修了する学生が、2023年度に参加するインターンシップから適用されています。

基準を満たすものは「タイプ3」と呼ばれます。要件は次のとおりです。

  • 就業体験要件:実施期間の半分を超える日数を、職場での就業体験に充てる
  • 指導要件:職場の社員が学生を指導し、終了後にフィードバックを行う
  • 実施期間要件:汎用的能力活用型は5日間以上、専門活用型は2週間以上
  • 実施時期要件:学部3年・4年、または修士1年・2年の長期休暇期間に行う
  • 情報開示要件:学生の情報を採用活動に使う旨などを、募集要項に書いて公表する

タイプ3で得た学生の情報は、3月以降は広報活動に、6月以降は採用選考活動に使えます。それより前には使えません。

授業期間の長期インターンはどう扱われるか

大学1・2年の授業期間に、週2〜3日で続ける長期インターンは、実施時期要件と合いません。3省合意の基本的な扱いでは、広報活動の開始より前に行われた取組で会社が得た学生の情報は、広報活動や採用選考活動に使えないとされています。使えるのは、タイプ3の要件を満たす場合だけです。

一方で、学生が自分で出したエントリーシートや成績表に、取組への参加の事実やフィードバックの結果を書いた場合は、ほかの書類と同じように使ってよいとされています。長期インターンでの経験は、自分で応募書類に書いて伝えます。書き方は長期インターンをガクチカにする記事で説明しています。

インターン中の評価は選考に使えるか

どこから伝わる情報か

タイプ3の要件を満たすインターンシップ3月以降は広報、6月以降は選考に使える募集要項に明示が必要
要件を満たさない取組(授業期間の長期インターンなど)会社が得た学生情報は使えない広報活動の開始前に行ったもの
学生が自分でエントリーシートに書いた経験ほかの書類と同じように使える

出典:3省合意(令和4年6月13日一部改正)

「インターンは採用と関係ない」は本当か

厚生労働省の資料は、タイプ1〜4の取組は学生のキャリア形成を支える取組であって、採用活動ではないと説明しています。この意味では、インターンそのものは採用の場ではありません。

一方で、タイプ3の要件を満たせば、そこで得た情報を開始時期以降の採用に使えます。自分でエントリーシートに書いた経験も、選考の材料になります。インターンが採用にまったく影響しない、というわけでもありません。どの取組で、いつ、どの情報が使われるのかで扱いが分かれます。

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就活日程(広報・選考の開始)との関係

政府は2018年以降、毎年度、関係省庁の連絡会議で就職・採用活動の日程を決め、経済団体などに要請しています。法律で決まった日程ではなく、守るよう求めているルールです。

2027年度卒業・修了予定者(学部生なら2028年3月卒業)の日程は、次のとおりです。

2027年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程
  1. 13月1日以降広報活動開始(卒業・修了年度に入る直前)
  2. 26月1日以降採用選考活動開始(卒業・修了年度)
  3. 310月1日以降正式な内定日(卒業・修了年度)

出典:内閣官房ほか「2027(令和9)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請」

要請では、インターンシップや広報活動を通じた早期の選考が、就職活動の早期化・長期化につながり、学業との両立に支障を及ぼしていると指摘しています。そのうえで、この日程を守るよう改めて求めています。

要請の文書は、開始日より前に実質的な採用選考活動が行われている状況も挙げています。インターン先から早い時期に声がかかった時は、それがどの段階の話なのかを確かめます。

早期選考・優遇の中身

ルールの中で認められている早い選考は、専門活用型インターンシップの例外です。2025年度(2026年3月)以降に卒業・修了する学生のうち、2週間以上の専門活用型インターンシップで専門性を判断された学生は、3月以降であれば、応募の受付を経て、6月より前の採用選考が認められています。対象のインターンシップは、卒業・修了年次の直前の春休み以降に行うものです。

これ以外の「早期選考」や「選考の一部免除」は、タイプ3で得た情報を使う場合でも、3月や6月の開始時期以降の話です。大学などでつくる就職問題懇談会も、インターンシップで得た情報をもとに、開始時期より前に「早期選考」と称した選考や内々定を出すことは厳に慎むよう、企業に求めています。

長期インターン先で「優遇する」と言われたら、何が優遇されるのかを具体的に確かめます。面接の回数が減るのか、別の選考の枠があるのか、いつからなのかを聞いておくと、ほかの会社の予定と比べられます。

長期インターンから内定までの流れ

長期インターン先にそのまま就職する場合も、新卒の採用選考を通るのが基本です。厚生労働省の資料も、学生は採用選考活動の開始時期以降、改めて採用選考のためのエントリーが必要になると説明しています。

長期インターンから内定までの流れ(例)
  1. 1就職の希望を伝える上司や採用担当に
  2. 2新卒採用にエントリー広報活動の開始後
  3. 3面接などの選考採用選考活動の開始後
  4. 4内々定条件を書面で確かめる
  5. 5正式な内定10月1日以降

就職したい気持ちがあるなら、早めに上司か採用担当に伝えておきます。新卒採用をしているか、何人を募集するか、どの時期にどんな選考があるかを聞けます。新卒採用をしていない会社もあります。

伝える文の例:インターンで働く中で、この会社で働き続けたいと考えるようになりました。来年度の新卒採用があれば応募したいと考えています。募集の時期や選考の流れを教えていただけないでしょうか。

選考の時期と、インターンの勤務が重なることもあります。面接の日の勤務をどうするかは、勤務日の変更として会社と相談して決めます。

内定が出たら確かめること

政府の要請では、正式な内定日は卒業・修了年度の10月1日以降です。それより前に出る採用の約束は、内々定と呼ばれます。内々定の段階でも、条件を書面で受け取っておくと、あとで確かめられます。

内々定や内定が出たら、口頭の約束だけで終わらせず、書面で中身を確かめます。厚生労働省は事業主に対して、採用の時期や採用の条件、内定を取り消す事由を文書で示すよう求めています。卒業が採用の条件なら、内定の時に示すことも求めています。

  • 入社日と、配属される部署や仕事の内容
  • 給料、勤務時間、休日などの労働条件
  • 内定を取り消す事由として書かれていること
  • 卒業が採用の条件になっているか
  • 入社までにインターンを続けるか、その時の条件

インターンの雇用契約と、新卒として入社する時の契約は別のものです。インターン中の時給や勤務日数が、入社後もそのまま続くわけではありません。入社後の労働条件は、契約を結ぶ時に会社が明示する必要があります。

内定の時点で労働契約が成立したと認められる場合、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない内定の取消しは無効とされています。

入社までインターンを続ける場合

内定のあとも、卒業まで長期インターンとして働き続けることがあります。その間は、インターンの雇用契約が続きます。卒業論文や、卒業に必要な単位を優先できるよう、勤務の日数を相談しておきます。卒業が採用の条件になっているなら、単位を落とすことは入社に直接関わります。

他社の選考と並行するか

長期インターン先に就職したい気持ちがあっても、ほかの会社の選考を受けることはできます。比べたうえで選ぶと、自分の判断に納得しやすくなります。インターン先しか知らないまま決めると、ほかの会社の働き方と比べる機会がありません。

内定や内々定と引き換えに、ほかの会社への就職活動をやめるよう強要することは、若者雇用促進法にもとづく指針で、行わないこととされています。いわゆるオワハラです。就職問題懇談会も、内々定の段階で内定承諾書や誓約書の提出を求めることなどを慎むよう、企業に求めています。

インターン先で働きながら他社の選考を受けると、気まずさを感じることもあります。正直に伝えるかどうかは自分で決めてよいことですが、面接で休む日は早めに相談しておきます。困った時は、大学のキャリアセンターや、都道府県労働局・ハローワークに相談できます。

インターン先の本選考で落ちた場合の気持ちの整理と次の動き方は、長期インターン先の本選考に落ちた時の記事にまとめています。続けるかどうかで迷った時は、長期インターンを続けるコツの記事も参考にしてください。

この記事は、2026年10月2日時点の3省合意、政府の就職・採用活動日程の要請、厚生労働省の公表資料をもとにした一般的な説明です。日程や扱いは年度ごとに見直されます。個別の状況は、在籍している大学のキャリアセンターや、都道府県労働局・ハローワークに確認してください。