企業側の主なメリット
長期インターンの企業側のメリットは、人手が増えることだけではありません。文部科学省・厚生労働省・経済産業省がまとめた「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方」(令和4年6月13日一部改正)は、受け入れる企業にとっての意義を次のように挙げています。
- 実践的な人材の育成につながる
- 大学などに産業界のニーズを伝え、教育に反映してもらえる
- 学生に自社の実態を知ってもらう契機になる。特に中小企業やスタートアップにとって意義が大きい
- 受け入れる職場で、若手人材の育成の効果がある
- 学生のアイディアなど、社外の新しい視点を活かせる
三省の考え方は、学生が業態、業種、仕事の内容への理解を深めることで、就業希望を促せるとも書いています。知名度で大企業と競いにくい会社でも、働く様子を直接見てもらうことで、仕事の中身で選んでもらう機会になります。
同じ考え方は、有給のインターンシップについて、学生の責任感を高め、長期の場合には学生の参加を促す効果が考えられるとしています。
実務の面では、社員が後回しにしていた仕事を進められること、学生に教える経験が若手社員の育成になることも挙げられます。
採用の評価材料として使えるか
長期インターンの様子を、新卒採用の評価に使いたいと考える企業もあります。三省の考え方では、卒業・修了前年次の2月末までに始めた取組で得た学生の情報は、原則として広報活動にも採用選考活動にも使えません。例外は、要件を満たすタイプ3のインターンシップで、あらかじめその趣旨を示した場合です。このときは、3月以降は広報活動に、6月以降は採用選考活動に使えます。
タイプ3の要件には、実施期間の半分を超える日数を職場での就業体験に充てること、汎用的能力活用型なら5日間以上・専門能力活用型なら2週間以上の期間、学部3・4年などの長期休暇期間に行うことなどがあります。授業期間に週2〜3日働く長期インターンは、この時期の要件に当たらないことがあります。新卒採用につなげる手順はインターンからの採用で説明しています。
得られること
- 後回しにしていた仕事が進む
- 若手社員の育成
- 学生に自社を知ってもらう
- 社外の新しい視点
負担になること
- 指導役の時間
- 授業や試験に合わせたシフト管理
- 雇用契約・保険・賃金の手続き
- 安全とハラスメントへの対応
出典:文部科学省・厚生労働省・経済産業省「基本的考え方」、長野労働局「インターンシップ生受入れにおける留意点」
負担になること(教育・管理・労務)
教育
社会人として働いた経験がない学生もいます。最初の数週間は、仕事の説明、確認、修正のやり直しに社員の時間がかかります。この時間は費用として見積もりに入れます。
管理
学生は授業が優先です。三省の考え方も、学生の学修時間の確保に十分な配慮が必要としています。試験期間や長期休暇でシフトが大きく変わるので、仕事の締切を学生の予定に合わせて組む必要があります。
途中で辞めるリスク
教育に時間をかけた学生が数週間で辞めると、その時間は取り戻せません。辞める理由には、聞いていた仕事と違った、授業との両立ができなかった、相談できる相手がいなかった、などがあります。仕事の中身と勤務条件を募集の段階ではっきり書き、最初の数週間に話を聞く時間を取ることが、このリスクを小さくします。
労務
長野労働局のリーフレットは、次のような実態があれば、インターンシップの学生も労働者に当たるとしています。
- 見学や体験的な要素が少ない
- 使用者から業務に関わる指揮命令を受けている
- 学生が直接の生産活動に従事し、その利益や効果が事業所に帰属する
- 実態として何らかの報酬が払われている
労働者に当たれば、労働条件の明示、労働時間、割増賃金、最低賃金などの労働関係法令が適用されます。有給で実務を任せる長期インターンは、雇用契約を結ぶのが前提です。必要な手続きは長期インターンと労働法のチェックリストにまとめています。
三省の考え方は、現場の安全の確保とハラスメントへの対応について、受け入れる企業が責任をもって対応する必要があるとしています。
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Day91の掲載について見る任せやすい仕事
任せやすいのは、手順を説明でき、できあがりを社員が確かめやすい仕事です。学生が週に数日しか来なくても進められる仕事だと、シフトとの相性もよくなります。
- 営業先や取引先のリストづくりと整理
- SNSの投稿づくりと、反応の数字の記録
- 記事、資料、問い合わせへの返信の下書き
- 社内の手順書やマニュアルの作成
- アンケートの集計と、簡単な分析
最初は手順の決まった仕事から始め、慣れてきたら自分で考える部分を増やします。最初から最後まで単純作業だけだと、学生にとって得るものが少なく、続けてもらいにくくなります。
3か月で仕事を広げる例
- 1か月目:手順書どおりにできる仕事を任せ、社員が毎回確かめる
- 2か月目:同じ仕事で、やり方の改善案を出してもらう
- 3か月目:小さな企画や分析を一つ任せ、結果を社内で発表してもらう
段階を先に決めておくと、指導役が替わっても任せ方がぶれません。学生にとっても、続けた先に何があるかが見えます。
任せにくい仕事
反対に、次のような仕事は学生に任せにくいものです。
- 価格の決定や契約の締結など、会社の判断として責任が伴う仕事
- 締切が急に決まり、学生のシフトと合わない仕事
- 教えられる社員が社内にいない専門的な仕事
- 顧客の個人情報を広く扱う仕事。任せるなら、見られる範囲と権限を先に決める
社外に出る文書や投稿も、学生だけで完結させず、公開の前に社員が確かめる流れにします。任せにくい仕事でも、下書きや調べものの部分だけを切り出せば任せられることがあります。
人手の補充だけが目的の受け入れにも注意します。長野労働局のリーフレットは、労働契約を前提としないインターンシップ制度を、繁忙期の労働者確保などの目的で使ってはならないとしています。人手が要るなら、雇用契約で募集し、仕事の内容と条件をはっきり示します。
受け入れる前の判断基準
受け入れるかどうかは、次の順に確かめると判断しやすくなります。
- 1任せる仕事を書き出す3か月分あるか
- 2指導役と時間を決める週に何時間使えるか
- 3シフトの組み方を決める授業・試験期間の扱い
- 4雇用契約と労務の準備労働条件の明示、保険、賃金
- 5費用を見積もる賃金、教育、媒体費
どれかに答えられないなら、受け入れの時期を遅らせる方が、学生にも会社にも損が少なくなります。人数や担当者、初日までの段取りはインターン生の受け入れ準備で説明しています。
社内の受け入れ体制
指導役のほかに、学生が困ったときに質問できる相手を決めておきます。指導役が不在の日に仕事が止まらないようにするためです。配属先の社員には、学生の勤務日と任せる仕事を事前に共有します。週に1回、短い振り返りの時間を取ると、仕事の詰まりや学業との両立の悩みに早く気づけます。
費用の見積もり方
費用は、賃金、教育にかかる社員の時間、募集の費用の3つで考えます。賃金は、時給に働く時間をかけて出します。東京都の最低賃金は、2026年10月1日から1,280円です。
たとえば東京都で、時給1,280円の学生に週12時間、13週(約3か月)働いてもらうと、賃金は199,680円です。ここに、通勤手当、保険料、指導役の時間、募集の費用を足します。Day91に求人を載せる場合は、90日続いた学生に払う1万円以上の継続手当も見積もりに入れます。
保険料、教育コスト、媒体費の内訳と計算の手順は長期インターン採用の費用にまとめています。
続く人を採るための求人サイト
Day91は、有給の長期インターンだけを載せる求人サイトです。載せられるのは、90日続けると91日目に企業から1万円以上の継続手当が出る求人だけです。手当は企業が自社の制度として学生に直接払い、Day91はお金を預かりません。
掲載料は月19,800円(税込)です。成果報酬はなく、掲載を始めた月は請求しません。Day91は学生の個人情報を集めず、応募は各企業のページで受け付けます。
この記事は、2026年10月2日時点の法令と、文部科学省・厚生労働省・経済産業省・労働局の公表資料をもとにした一般的な説明です。学生が労働者に当たるかどうかは、契約の名前ではなく働き方の実態で判断されます。個別の状況は、社会保険労務士・弁護士・都道府県労働局や労働基準監督署にご確認ください。



