受け入れ人数は教える社員の時間で決める

インターン生の受け入れ人数は、仕事の量より、教える社員の時間で決めます。仕事がたくさんあっても、指示を出し、質問に答え、成果を確かめる人がいなければ、インターン生は動けません。

まず、指導役の社員が1週間に指導へ使える時間を出します。次に、インターン生1人に1週間で必要な指導の時間を見積もります。前者を後者で割った数が、無理なく受け入れられる人数の目安です。

1人に要る指導の時間には、仕事の説明、質問への回答、成果物の確認、週1回の振り返りを含めます。インターン生の勤務日に指導役が休みだと、その日は質問できません。勤務日を指導役の出勤日に合わせられるかも、人数を決める前に確かめます。

受け入れ人数の目安の出し方
週5時間指導役が指導に使える時間週2.5時間インターン生1人に要る指導時間2人受け入れ人数の目安

数字は計算の例。自社の実際の時間で置き換える

たとえば、指導役が週5時間を指導に使え、1人に週2.5時間が要るなら、目安は2人です。最初の1か月は質問が多いので、1人に要る時間を多めに見積もります。慣れてきたら、同じ時間でもう1人増やせるかを見直します。

人数を決める前に、任せる仕事を書き出しておくことも必要です。最初の1か月に頼む仕事が1人分しかないのに2人を迎えると、どちらも手持ち無沙汰になります。書き出した仕事を、すぐ任せられるもの、教えれば任せられるもの、まだ任せないものの3つに分けると、必要な指導の時間も見積もりやすくなります。

担当者(メンター)の役割

インターンの採用担当者と、現場で教える担当者は分けて考えます。採用担当者は、募集、面接、契約、入社手続きを受け持ちます。現場の担当者(メンター)は、日々の仕事を一緒に進めます。

担当者ごとの役割の例
役割主な仕事決めておくこと
採用担当者契約、入社手続き、勤怠と給与の確認書類の締切と連絡手段
メンター仕事の指示、質問への回答、週1回の振り返り質問を受ける時間帯
副担当メンター不在時の相談先メンターとの情報共有の方法
相談窓口ハラスメントや勤務の悩みの相談メンター以外の人にする

相談窓口は、メンターとは別の人にします。メンターとの関係で困ったときに、相談先がメンターしかいないと声を上げられません。相談窓口の作り方は長期インターンのパワハラ防止で説明しています。

メンターを任せる社員の仕事は、受け入れの前に減らしておきます。指導を通常業務に上乗せすると、忙しい時期に指導が後回しになります。

週1回の振り返りでは、先週やったこと、詰まったこと、来週やることの3点を話します。15分でも、決まった曜日と時間に入れておくと続きます。メンターは、インターン生の授業や試験の予定もこの場で聞き、翌月の仕事量を調整します。

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初日までに用意するもの(契約・アカウント・席)

初日までの準備は、契約、記録、仕事の道具の3つに分けると漏れが減ります。

採用決定から初日までの段取り
  1. 1労働条件通知書を渡す契約期間・業務と就業場所の変更の範囲も書く
  2. 2労働者名簿と賃金台帳を用意する
  3. 3保険の加入要否を確かめる
  4. 4アカウントと権限を用意する必要な範囲だけ
  5. 5席と機材、初日の案内を用意する

契約と記録

労働基準法15条により、労働契約を結ぶときは賃金や労働時間などの条件を明示します。厚生労働省は労働条件通知書のモデル様式を公開しています。モデル様式には、契約期間、更新の有無と判断の基準、就業場所と業務の変更の範囲などの欄があります。

学生の場合は、モデル様式の欄に加えて、試験期間の勤務の扱い、リモート勤務の可否、継続手当などの手当の条件を書いておくと、後で解釈がずれません。求人票、面接での説明、労働条件通知書の内容がそろっているかも、渡す前に見比べます。

労働基準法107条により、労働者ごとに労働者名簿を作り、氏名、生年月日、履歴などを記入します。給与を払ったら賃金台帳にも記入します。雇用保険や社会保険の加入の判断は、長期インターンと労働法のチェックリストで確かめます。

雇入れ時の健康診断は、常時使用する労働者が対象です。短時間の労働者は、期間の定めのない契約か、1年以上使用される予定がある(更新で1年以上使用されている場合を含む)ことに加え、週の労働時間が同種の業務の通常の労働者の4分の3以上の場合に対象になると、厚生労働省の通達が示しています。勤務時間の短いインターン生は対象にならないことがあるため、契約の内容で確かめます。

アカウントと席

メール、チャット、業務ツールのアカウントは、初日の朝に使える状態にしておきます。権限は、最初の仕事に必要な範囲に絞ります。初日にパスワードの設定だけで半日が過ぎると、インターン生は何をすればよいか分からないまま帰ることになります。

出社する場合は、席、パソコン、入館の方法を決めます。リモートの場合は、機材の貸し出しか私物の利用かを決め、私物を使うならルールを書面で伝えます。初日の集合時間、場所、持ち物、当日の連絡先は、前日までに送ります。

勤怠の付け方、シフトの出し方、給与の締め日と支払日も、初日に書面で渡します。口頭だけで伝えると、最初の給与日まで分からないことが残ります。

秘密保持と個人情報の扱い

インターン生も、顧客情報や社内の資料に触れます。個人情報保護法24条は、従業者に個人データを取り扱わせるとき、安全管理が図られるよう必要かつ適切な監督を行うよう求めています。個人情報保護委員会のガイドラインは、従業者にアルバイト社員も含まれるとしています。

ガイドラインは、個人データを取り扱う従業者への教育や研修を、リスクに応じて充実させることが望ましいとしています。初日の説明で、扱ってよい情報、持ち出してはいけない情報、私物の端末やSNSでの扱いを具体的に伝えます。

社内のノウハウを守るには、秘密の範囲をはっきりさせます。不正競争防止法は、営業秘密を「秘密として管理されている」事業上有用な情報で、公然と知られていないものと定めています。秘密保持の誓約書を交わすときは、対象となる情報の範囲を書面で示します。

辞めるときの手順も、受け入れの時点で決めておきます。貸与した機材の返却、アカウントの停止、共有フォルダの権限の削除を、最終勤務日に誰が行うかを担当者ごとに割り振ります。

最初の1週間の予定

労働安全衛生法59条は、労働者を雇い入れたときに、従事する業務に関する安全や衛生の教育を行うよう定めています。労働安全衛生規則35条は、作業手順、事故時の応急措置や退避などを教育の事項に挙げています。現在の条文に、業種による省略の定めはありません。事務の仕事でも、非常口や避難経路、機器の扱いを初日に伝えます。

  1. 1日目:契約書類の確認、安全衛生と情報の扱いの説明、ツールの設定、チームへの紹介
  2. 2日目:最初の仕事を渡す。1日から数日で終わり、結果が見えるもの
  3. 3〜4日目:最初の仕事を進める。メンターが決めた時間帯に質問を受ける
  4. 5日目:15分の振り返り。分からなかったことと、次に任せる仕事を話す

週に2〜3日だけ勤務するインターン生なら、この予定を勤務日の順に置き換えます。説明を初日に詰め込みすぎると覚えきれないため、資料は後から見返せる場所に置き、同じ説明を2週目にもう一度短く繰り返します。最初の2週間の進め方と、辞める理由の防ぎ方は長期インターンの定着で詳しく説明しています。

まとめて採用する時の注意

インターン生を何人もまとめて採用するときは、人数が増えたことで生じる義務を確かめます。労働基準法89条により、常時10人以上の労働者を使う事業場は、就業規則を作って労働基準監督署に届け出ます。

富山労働局の資料は、この労働者にはパートタイム労働者やアルバイトなど、雇用契約を結ぶすべての人を含むと説明しています。正社員2名とアルバイト8名の事業場も、作成の義務があるという例を挙げています。インターン生を加えて10人に届くなら、就業規則を準備します。

大量採用では、開始日をそろえると、説明や研修をまとめて行えます。一方で、メンター1人あたりの人数が増えすぎないよう、チームごとに受け入れ人数の上限を決めます。開始日を2週間ずつずらす方法もあります。

同じ時期に入った人どうしは、質問し合える関係になりやすい面があります。一方で、評価や時給の扱いに差があると、すぐに比べられます。時給を見直す時期と基準は、全員に同じ内容で伝えます。

受け入れの直前には、次の項目がそろっているかを確かめます。

  • 受け入れ人数と、1人ずつのメンター・副担当が決まっている
  • 最初の1か月に任せる仕事が書き出してある
  • 労働条件通知書を渡し、労働者名簿を作った
  • アカウント、権限、席、機材が初日に使える
  • 情報の扱いと安全衛生の説明の資料がある
  • 相談窓口を、メンター以外の人で決めて伝えた

この記事は、2026年10月2日時点の法令と厚生労働省・個人情報保護委員会の公表資料をもとにした一般的な説明です。健康診断や就業規則、保険の要否など、個別の状況は労働基準監督署・社会保険労務士に確認してください。

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