できない理由を3つに分ける
長期インターン生をクビにするかどうかを考える前に、できない理由を分けます。理由によって打ち手が違うからです。
「無能だ」とひとまとめにすると、何を直せばよいかが見えません。本人も、何を求められているのか分からないままになります。
1 何を求められているか分かっていない
指示があいまいだったり、完成の基準が伝わっていなかったりする場合です。同じ間違いが続くときは、本人より先に指示の出し方を見直します。
2 仕事の難しさが今の力に合っていない
知識や経験が足りず、任せた仕事が難しすぎる場合です。社会人として働くのが初めての学生もいます。ついていけないのは、段階を飛ばして任せた結果のこともあります。
3 勤務の条件や約束が守れていない
遅刻や連絡なしの欠勤が続く、決めたシフトに入れない、といった場合です。学業や試験の時期と重なっていることもあります。仕事の力とは別の問題として扱います。
求められていることが分からない
- 同じ間違いが続く
- 指示と完成の基準を書いて渡す
- 会社側の伝え方を先に直す
仕事が難しすぎる
- 手が止まる・時間がかかる
- 任せる仕事の段階を戻す
- 一緒にやる時間を増やす
条件や約束が守れない
- 遅刻・連絡なしの欠勤
- シフトと学業の予定を見直す
- 続く場合は面談で記録を残す
任せる仕事の段階を戻す
1と2が理由なら、任せる仕事を一段前に戻します。できないまま同じ仕事を続けさせても、本人は何も身につかず、周りの負担も増えます。
戻すときは、次の順番で一段ずつ上げ直します。どの段で止まっているかを、指導する人と本人で共有します。
- 1見本を見せる完成の形と手順を示す
- 2一緒にやる途中で質問を受ける
- 3一人でやって確認する提出前に見る
- 4任せる確認は事後にする
段階を戻すことは、本人への罰ではありません。本人には、どの段まで戻して、何ができたら次に進むかを伝えます。受け入れの最初の設計はインターン生の受け入れ準備で、段階的に広げる考え方は長期インターンの定着で説明しています。
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Day91の掲載について見る面談と記録の残し方
段階を戻しても改善しないときや、3の約束が守れないときは、面談の場を設けます。面談では、評価ではなく事実から話します。
- 起きた事実:いつ、何の仕事で、何があったか
- 求めている水準:何ができればよいか
- 期限:いつまでに、どこまでを目指すか
- 会社がすること:指導の回数、確認の方法、仕事量の調整
- 本人の事情:学業、体調、勤務時間の希望
記録は、次のような形で1回の面談ごとに残します。書き方を決めておくと、指導する人が変わっても続きから話せます。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 日付・参加者 | 面談した日、本人と指導担当の名前 |
| 事実 | 先週提出の資料3件のうち2件で、指定した書式と違っていた |
| 求める水準 | 提出前にチェックリストで書式を確かめてから出す |
| 期限 | 次の2週間で提出する資料 |
| 会社がすること | チェックリストを渡す。最初の3件は提出前に一緒に見る |
| 本人の話 | 試験期間で作業時間が足りなかった。来週から勤務時間が戻る |
| 次の面談 | 2週間後。結果を見て段階を進めるか決める |
事実の欄には、評価の言葉ではなく、数えられることや見たことを書きます。「やる気がない」と書くと、本人と話がかみ合いません。「連絡なしの欠勤が今月2回」と書けば、何を直すかがはっきりします。
面談の後は、話した内容を日付つきで記録し、本人にも同じ内容を渡します。期限が来たら、もう一度面談して結果を確かめます。記録は、後で契約を続けるか終えるかを考えるときの材料になります。
大声で叱る、人格を否定する言葉を使う、他の人の前で責めるといった指導は避けます。指導の線引きはインターン生へのハラスメント防止で扱っています。
解雇・雇止めのルール(予告と理由)
有給の長期インターンで雇用契約を結んでいる学生は労働者です。会社から一方的に契約を終えるには、正社員と同じく法律のルールがあります。
解雇には合理的な理由が要る
労働契約法16条は、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、権利の濫用として無効と定めています。仕事についていけないという理由だけで、すぐに有効な解雇になるわけではありません。
長期インターンは、3か月や6か月などの有期契約にすることもあります。労働契約法17条は、有期契約の期間の途中では、やむを得ない事由がある場合でなければ解雇できないと定めています。期間の途中で終えるのは、期間の定めのない契約より難しいと考えてください。
30日前の予告か解雇予告手当
労働基準法20条により、解雇するときは少なくとも30日前に予告します。予告しない場合は、30日分以上の平均賃金を払います。これを解雇予告手当と呼びます。予告の日数は、平均賃金を払った日数分だけ短くできます。
天災事変などで事業が続けられない場合や、労働者の責任による解雇の場合は、所轄の労働基準監督署長の認定を受ければ、予告は要りません。
解雇の理由を書面で求められたら
労働基準法22条により、労働者が解雇の理由について証明書を求めたときは、会社は遅滞なく交付します。予告をした日から退職の日までの間に求められた場合も同じです。面談の記録が、この理由を書く根拠になります。
期間の満了で更新しない(雇止め)
有期契約を更新しないことを雇止めといいます。厚生労働省の「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」は、次のいずれかに当たる契約を更新しない場合、満了日の30日前までに予告するよう定めています。あらかじめ更新しないと明示していた場合は除きます。
- 3回以上更新されている
- 1年以下の契約が更新され、最初の契約から通算1年を超えて続いている
- 1年を超える期間の契約を結んでいる
雇止めの理由について証明書を求められたら、遅滞なく交付します。理由は、契約期間の満了とは別のものにします。基準の資料は、例として「業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため」や「無断欠勤をしたことなど勤務不良のため」を挙げています。
労働契約法19条は、更新が繰り返されて期間の定めのない契約と同じように見える場合や、更新を期待する合理的な理由がある場合に、合理的な理由のない雇止めを認めないと定めています。
どの時点で契約を終えるか
試用期間中の扱い
労働基準法21条は、試の使用期間中の者には20条の予告の規定を適用しないと定めています。ただし、14日を超えて引き続き使われた場合は、予告が必要になります。
試用期間が1か月や3か月でも、予告が要らないのは最初の14日までです。予告が要らないことと、理由が要らないことは別です。試用期間中でも、契約を終えるなら事実に基づいた理由を用意します。
同じ21条は、2か月以内の期間を定めて使われる人も、その期間を超えて引き続き使われるまでは予告の規定の対象外としています。試用期間の有無と長さは、求人の段階で明示する労働条件に含まれます。
合意で契約を終える場合
会社から辞めてほしいと勧めることを退職勧奨といいます。厚生労働省は、退職勧奨に応じるか、断って働き続けるかは労働者が自由に選べると説明しています。労働者の自由な意思決定を妨げる勧め方は、違法とされる可能性があります。
- 面談は短く、回数を重ねすぎない
- 断っても不利に扱わないと伝える
- 考える時間を取ってもらう
- 合意したら、退職日と最後の給与の支払日を書面に残す
合意で辞める場合も、退職の証明書の決まりは同じです。労働基準法22条により、労働者が退職するときに、使用期間、業務の種類、地位、賃金、退職の事由について証明書を求めたら、会社は遅滞なく交付します。証明書には、本人が求めていない事項を書いてはいけません。
学生の側から、学業との両立が難しいと相談されることもあります。勤務日数を減らして続ける、担当を変えるといった選択肢を先に出すと、話し合いが一方的になりません。
この記事は、2026年10月2日時点の法令と厚生労働省の公表資料をもとにした一般的な説明です。個別の事案で解雇や雇止めが認められるかは、労働基準監督署、社会保険労務士、弁護士に確認してください。
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