長期インターンを飛ぶと何が起きるか
長期インターンを飛ぶとは、会社に連絡しないまま勤務に行かなくなることです。1日目で合わないと感じた、上司に言い出しにくい、といった理由で起こります。
連絡をしないと、会社から見れば無断欠勤が続いている状態です。会社は、本人が無事かどうかもわからないまま、連絡を取ろうとします。
飛んでも、雇用契約は自動では終わりません。辞めると伝えていないので、契約は続いたままです。貸与されたパソコンや入館証の返却、最後の給料の受け取り、源泉徴収票の受け取りも進みません。
また、在籍している間は、会社のアカウントや共有フォルダに自分の権限が残ったままになります。会社にとっても、止められない状態が続きます。
言い出しにくくても、辞めると一言伝えれば、そこから辞める手続きが動き出します。この記事では、伝える前に知っておくと気が楽になるルールを先に説明します。
飛びたくなった理由で動き方を変える
飛びたいと思った理由によって、取れる手は変わります。辞める以外の道があることもあります。
- 仕事が合わない:担当を変えられないか上司に聞く。変えられなければ辞めると伝える
- 体調が悪い:まず休む連絡をする。続けるかどうかは落ち着いてから決める
- 授業や課題と重なってつらい:週の日数や時間を減らす相談をする
- 上司の言動がつらい:ひとりで抱えず、社内の窓口や外の相談先に話す
- 条件が求人や契約と違う:その違いを記録し、相談先に話す
どの場合でも、黙って行かなくなるより、何か一言を送る方が、あとで自分が動きやすくなります。
無断で辞めても働いた分の給料は受け取れる
飛んだことを理由に、それまで働いた分の給料を払わないことはできません。労働基準法第24条は、賃金は全額を払わなければならないと定めています。法令や労使協定で決まったもの以外を、会社が勝手に差し引くこともできません。
たとえば時給1,280円で、1日5時間の勤務を3日したあとに飛んだ場合、働いた15時間分の19,200円は払われる必要があります。来なくなった日以降の分は、働いていないので出ません。
辞めたあとは、労働基準法第23条により、本人が請求すれば、会社は7日以内に賃金を払う必要があります。給料日まで待たずに受け取れるということです。争いがある部分があっても、争いのない部分は7日以内に払われます。
最後の給料が払われない時は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。勤務した日と時間のメモ、シフト表、チャットの記録を残しておくと、相談の時に役立ちます。
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継続手当つきの求人を探す損害賠償や違約金を求められた時
「辞めるなら違約金を払え」と言われることがあります。労働基準法第16条は、労働契約を守らなかった場合の違約金や、損害賠償の額を前もって決める契約を禁止しています。契約書に「途中で辞めたら罰金◯万円」とあっても、その約束は労働基準法に反します。
厚生労働省の学生アルバイト向けの資料は、店の物を壊した時に弁償が必要な場合もあるが、本来の値段以上を罰金として払う必要はないと説明しています。売れ残りの商品を買う義務もなく、バイト代から自動で天引きすることも基本的にできないとしています。
一方で、民法には、契約を守らずに実際の損害が出た時の賠償の規定があります。期間の定めがある契約を、自分の過失で途中で解除した場合も、損害賠償の責任が定められています。ただ、どこまでが賠償の対象になるかは、個別の事情で決まります。
賠償の額を給料から差し引くと言われることもあります。厚生労働省の学生アルバイト向けの資料は、バイト代から自動的に天引きすることは基本的にできないと説明しています。差し引かれた給与明細が届いたら、そのまま保管します。
高い額を言われて不安な時は、その場で払うと約束せず、総合労働相談コーナーに相談します。言われた内容は、日時とあわせて記録しておきます。
法律で認められない
- 辞めたら違約金を払うという約束
- 飛んだから給料を払わない
- 給料から勝手に差し引く
法律で決まっていること
- 働いた分の給料は全額払われる
- 退職後に請求すれば7日以内に払われる
- 実際の損害の賠償は個別の事情で決まる
契約期間の有無で辞め方が変わる
飛ぶ代わりに、きちんと辞めるにはどうすればよいか。ルールは、雇用契約に期間の定めがあるかどうかで変わります。労働条件通知書で、契約期間を確かめます。
- 期間の定めがない契約:民法第627条により、いつでも辞めると申し入れられ、申し入れの日から2週間で雇用が終わります。
- 期間の定めがある契約:民法第628条により、やむを得ない事由があればすぐに解除できます。それ以外は、会社と合意して途中で終える形です。
- 条件が約束と違う場合:労働基準法第15条により、明示された労働条件が事実と違えば、すぐに契約を解除できます。
自分の契約はどれ?
どの場合も、会社と合意できれば、2週間を待たずに辞める日を決められます。就業規則の決まりや、辞める時の伝え方の全体は、長期インターンを続けるコツと辞め方の記事で説明しています。
1日・1週間で辞めたい時の伝え方
仕事の内容が想像と違った、通勤がつらい、職場の雰囲気が合わない。働き始めてすぐに辞めたくなる理由はさまざまです。早く伝えるほど、会社が次の人を探す時間も取れます。
上司と話すのがつらいなら、まずチャットやメールで伝えて構いません。黙って行かなくなるより、短い文でも送る方が、自分にとっても後が楽です。
メールの例:お疲れさまです。入社してまだ間もないのに申し訳ありません。仕事を続けていくのが難しいと感じたため、インターンを辞めさせていただきたいと考えています。可能であれば、今週金曜日を最終日にしていただけないでしょうか。お借りしているパソコンと入館証は、最終日にお返しします。
理由を細かく説明する必要はありません。「続けるのが難しいと感じた」で足ります。引き止められても、気持ちが固まっているなら同じ内容をくり返し伝えます。
退職届を書面で出すよう言われたら、辞めたいこと、最終日、提出日、名前を書いた短い文で足ります。最終日まで出社するのがつらい時は、残りの勤務日をどう扱うかも、あわせて相談します。
飛んでしまったあとでも
すでに数日行かなくなっている場合でも、今から連絡できます。無断で休んだことをまず謝り、辞めたいことと、貸与物の返し方を相談します。連絡が遅れても、伝えた日から手続きが進みます。電話が怖ければ、メール1通で構いません。謝罪、辞めたいこと、貸与物の返し方の3点が入っていれば足ります。
体調が原因で行けなくなったなら、そのことも伝えます。辞めるか、休んでから戻るかを、体調が落ち着いてから決める方法もあります。休む時の連絡の仕方は長期インターンを休む時の記事にまとめています。
貸与物の返却と最後の給料
辞める時に確かめることを、順番に並べます。
- 1辞めると伝えるチャットやメールでもよい
- 2最終日を決める合意できれば2週間より前でも
- 3作業を引き継ぐ途中の作業を一覧に
- 4貸与物を返すパソコン・入館証など
- 5最後の給料を受け取る源泉徴収票も
- パソコン、入館証、名刺、鍵など、借りている物を返す。出社しない場合は、郵送でよいかを確かめる
- 会社のアカウントやファイルを、自分の端末に残さない
- 途中の作業と、置き場所を一覧にして渡す
- 最後の給料の額と支払日を確かめる
- 源泉徴収票の受け取り方を確かめる
出社せずに貸与物を郵送で返すなら、追跡ができる方法で送り、送った日と中身を会社に伝えます。届いたかどうかで、あとから行き違いが起きないようにするためです。
最後の給与明細が届いたら、働いた日数と時間が合っているかを、自分のメモやシフト表と見比べます。差がある時は、その明細とメモを残して会社に問い合わせます。
源泉徴収票は、次の勤め先の年末調整や、確定申告で使います。給料が最低賃金以上だったかなど、最後の給料の中身を確かめる時は、長期インターンの時給の記事も参考になります。
言い出しにくい時の相談先
辞めると言ったら怒られそう、何度言っても辞めさせてもらえない、という時は、ひとりで抱えずに相談します。
- 総合労働相談コーナー:全国の労働局や労働基準監督署などにあります。学生からの相談も受けていて、予約は不要、相談は無料です。
- 労働基準監督署:給料が払われない、違約金を求められたといった、法律に反する疑いがある時。
- 大学の学生向け相談窓口:辞めるかどうか迷っている時や、学業との両立に悩んでいる時。
相談に行く前に、次のものをそろえておくと話が早く進みます。労働条件通知書か契約書、給与明細、シフト表や勤務のメモ、会社とのチャットやメールの記録です。手元にない物があっても、相談はできます。
厚生労働省は、アルバイトを含む労働者は原則としていつでも退職を申し入れられ、代わりの人を無理して探す必要はないと説明しています。辞めたいと伝えることは、働く人に認められた行動です。
次のインターンを探す時は、今回合わなかった点を条件に入れます。求人一覧では、週の日数やリモートの可否で絞り込めます。
この記事は、2026年10月2日時点の労働基準法・民法と厚生労働省の公表資料をもとにした一般的な説明です。損害賠償などの扱いは個別の事情で変わります。個別の状況は、総合労働相談コーナーや労働基準監督署に確認してください。



