基準は任せる仕事から逆算する

インターンの採用基準は、募集を始める前に決めます。厚生労働省は、募集の前に適性・能力に基づいた採用基準を明確にし、その上で適性・能力を客観的に評価する選考方法をとるよう求めています。

基準の出発点は、採用した人に任せる仕事です。「優秀な学生」を探すと、基準が人によって変わります。「入社1か月目に何をしてもらうか」から書き出すと、見るべき力がしぼれます。

  1. 最初の1か月に任せる仕事を3つほど書き出す
  2. それぞれに必要な力を書く(例:表計算の基本操作、文章の要約)
  3. 入社後に教えられる力と、最初から必要な力に分ける
  4. 最初から必要な力だけを採用の条件にする

たとえば、SNS運用の補助を任せる場合で考えます。最初の1か月の仕事を、投稿文の下書き、投稿の予約、反応の数の集計とします。必要な力は、短い文章を書く力、指示どおりに予約の操作をする力、表計算に数字を入れる力です。予約の操作は入社後に教えられます。そこで、採用の条件は短い文章を書けることと、表計算の基本操作ができることの2つにしぼります。

長期インターンでは、入社後に教える前提で任せる仕事もあります。教えられる力まで条件にすると、応募できる学生が減ります。採用の条件は少なく、評価の項目は具体的にします。

見る項目(勤務できる時間・基礎スキル・姿勢)

長期インターンの評価項目は、大きく3つに分けると整理しやすくなります。

勤務できる時間と期間

週に何時間、どの曜日に入れるか、何か月続けられるかです。求人に書いた勤務条件と合っているかを確かめます。試験期間や長期休みの予定もここで聞きます。ここが合わないと、他の項目が良くても続きません。

基礎スキル

任せる仕事に最初から必要な力です。エンジニアならコードを読めるか、ライターなら事実と意見を分けて書けるか、といった形で決めます。学歴や資格ではなく、仕事でできることを見ます。

仕事の進め方

分からないときに質問できるか、連絡や報告を期限までにできるか、といった進め方です。姿勢をあいまいな印象で判断しないよう、何を見たらどう評価するかを言葉にしておきます。

3つの項目は、採用の条件と評価の項目に分けて使います。採用の条件は、満たさなければ不採用になるものです。長期インターンなら、勤務できる時間と期間をここに入れます。評価の項目は、条件を満たした人どうしを点数で比べるものです。基礎スキルや仕事の進め方はこちらに入れます。条件を増やしすぎると、評価で比べる前に応募者がいなくなります。

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使ってはいけない基準

厚生労働省は、本人の適性・能力に関係のない事項を採用基準にしないよう求めています。採用基準にしないつもりでも、応募書類に書かせたり面接で聞いたりすれば、結果として採否に影響し、就職差別につながるおそれがあるとしています。

  • 本人に責任のない事項:本籍・出生地、家族の職業や収入、住宅の状況など
  • 本来自由であるべき事項:宗教、支持政党、思想、尊敬する人物、愛読書など
  • 身元調査や、合理的・客観的に必要と認められない採用選考時の健康診断

職業安定法5条の5と指針は、募集を行う者が、人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地など社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況を原則として集めてはならないと定めています。面接で聞いてはいけない事項の一覧はインターンの採用面接の進め方にまとめています。

性別・年齢と、見落としやすい要件

性別(男女雇用機会均等法5条)と年齢(労働施策総合推進法9条)で応募を制限する書き方の決まりは、長期インターン求人の書き方で説明しています。基準を作るときは、性別以外の条件にも注意します。

男女雇用機会均等法7条と同法施行規則2条は、募集や採用で身長、体重、体力を要件にすることを、業務の遂行上特に必要であるなどの合理的な理由がない限り禁じています。住居の移転を伴う配置転換に応じられることを要件にする場合も同じです。

障害者雇用促進法34条は、募集と採用で障害者に障害者でない者と均等な機会を与えるよう定めています。厚生労働省も、障害や難病の有無、性的マイノリティなどで特定の人を排除しないよう求めています。

採用基準にしてよいもの・いけないもの

基準にしてよい

  • 任せる仕事に必要な力
  • 求人に書いた勤務時間に入れるか
  • 連絡・報告の進め方

基準にしてはいけない

  • 本籍・出生地・家族のこと
  • 宗教・支持政党・思想
  • 仕事に関係のない身長・体重・体力

評価シートの例

評価項目が決まったら、面接で使うシートにします。各項目に、何ができていれば何点かを書いておくと、面接する人が変わっても評価がそろいます。厚生労働省も、面接での評価はあらかじめ評価基準を決め、できるだけ客観的かつ公正に行うよう求めています。

長期インターンの面接評価シートの例(3点満点)
項目3点2点1点
勤務できる時間求人の条件どおり入れる一部の曜日を調整すれば入れる条件と合わない
続けられる期間求人の期間以上続けられる期間は同じだが試験期間に休みが要る期間に届かない
基礎スキル見本の課題を一人でできる説明を受ければできる説明を受けてもできない
質問と報告分からない点を具体的に聞ける聞かれれば答えられる分からないまま進める
応募後の連絡期限内に返信している期限を過ぎたが連絡がある連絡がない

点数の段階は、3点、2点、1点の3つにすると迷いにくくなります。勤務できる時間のように、1点なら不採用にする項目も決めておきます。

シートは面接の直後に記入します。複数人で面接した場合は、話し合う前にそれぞれが一人で点数をつけます。先に話し合うと、声の大きい人の評価に引っ張られます。3点と1点のように点数が2点離れた項目は、どの発言を見てその点にしたかを確かめ合います。

評価の3段階
1点2点3点
  1. 1点条件と合わない・できない必須項目なら不採用
  2. 2点調整や説明があればできる
  3. 3点求人の条件どおり・一人でできる

書類と面接で見る項目の分け方

すべてを面接で見ようとすると、時間が足りません。書類で分かることは書類で、話さないと分からないことは面接で見ます。

  • 書類で見る:勤務できる曜日と時間、続けられる期間、これまでに作ったもの
  • 面接で見る:仕事の進め方、質問のしかた、勤務条件の細かな調整
  • 課題で見る:基礎スキル。短い見本の作業で確かめる

応募書類は、就職差別につながるおそれのある事項を含まないものを使います。厚生労働省は、大学生などの応募には「厚生労働省履歴書様式例」などを推奨しています。作文を課す場合は、家族や生い立ちなど家庭環境に関わるテーマや、思想・信条を推測させるテーマにしないよう求めています。適性検査を使う場合も、結果をうのみにせず、その結果だけで採否を決めないよう求めています。

課題を出すときは、かかる時間の目安と提出の期限を先に伝えます。課題は、基礎スキルを確かめられる短いものにします。自社の実際の業務にそのまま使う成果物を作らせる形は避けます。応募者が課題の目的を疑い、辞退につながりやすいためです。

合否を決める手順

合否は、面接の印象ではなく、決めておいた基準で判断します。厚生労働省は、採否の決定は、あらかじめ定めた基準にしたがって総合的に評価するよう求めています。

合否を決める手順
  1. 1必須の項目を確かめる1点の項目があれば不採用
  2. 2評価シートの点数を合計する
  3. 3面接した人どうしで点数の理由を照らし合わせる
  4. 4合否と理由を記録する
  5. 5応募者に結果を連絡する

点数が並んで迷ったときは、基準の外にある印象で決めないようにします。「話しやすかった」「自分と似ている」といった印象は、面接する人によって変わります。迷った場合は、必須の項目にもう一度戻り、勤務できる時間と続けられる期間がより合う人を選びます。それでも決まらないときは、基準そのものが仕事に合っているかを見直す合図です。

合否の理由を記録しておくと、次の募集で基準を見直す材料になります。採用した人が3か月後にどうなったかと、面接時の点数を並べると、どの項目が仕事の結果と結びついていたかが分かります。結果の伝え方はインターンの不採用通知の書き方で説明しています。

この記事は、2026年10月2日時点の法令と厚生労働省の公表資料をもとにした一般的な説明です。個別の採用基準が法令に照らして問題ないかは、都道府県労働局やハローワーク、社会保険労務士に確認してください。

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