長期インターンの営業でする仕事
長期インターンの営業は、会社の商品やサービスを買ってもらうまでの流れの一部を担当します。大学生が任される仕事は、おおむね次の3つです。
- テレアポ:電話をかけて、商談の約束を取る
- インサイドセールス:電話、メール、オンライン会議で見込み客とやり取りを続け、商談につなげる
- 商談同席:社員の商談に同席し、議事録や提案資料をつくる
どこまで任されるかは会社ごとに違います。面接では、最初の1か月にする仕事と、その後に広がる仕事を聞いておきます。ほかの職種の仕事と比べたいときは、職種別の仕事内容と1日の流れも参考になります。
電話の相手が会社か個人か
営業の相手には、会社(法人)と個人(消費者)があります。相手が個人で、電話で契約を勧める場合は、特定商取引法のルールがかかります。詳しくは後の章で説明します。
時給制と歩合給の違い
営業インターンの給与は、時給制か、時給に歩合を足す形が中心です。時給制は、働いた時間に時給をかけた額が払われます。歩合給は、取れたアポの件数や契約の件数に応じて払われます。
時給に歩合を足す形なら、成果が出なかった月も時給分は払われます。歩合だけで払う形は、成果が出ない月の収入が大きく下がります。
時給制
- 働いた時間×時給
- 成果が出なくても額は同じ
- 最低賃金が下限
時給+歩合
- 時給分は必ず払われる
- アポや契約の件数で上乗せ
- 最低賃金が下限
業務委託の完全歩合
- 成果がなければ報酬ゼロ
- 労働者でなければ最低賃金はかからない
- 契約の形を先に確かめる
歩合の「1件」の数え方
歩合がある求人では、何をもって1件と数えるかで受け取る額が変わります。同じアポ1件1,000円でも、約束を取った時点で数えるのか、商談が実際に行われた時点で数えるのかで違います。
- アポを取った時点か、商談が行われた時点か、契約が決まった時点か
- 相手が商談をキャンセルしたとき、取り消しになるか
- 歩合を締める日と、払われる月はいつか
- 歩合の単価が途中で変わることがあるか
これらは口頭ではなく、労働条件通知書や賃金の規程など、手元に残る形で確かめます。
業務委託の完全歩合に注意
雇用契約ではなく業務委託契約で、成果だけに報酬を払う求人もあります。この場合、労働者として扱われなければ、最低賃金法や労働基準法はかかりません。
ただし、契約の名前が業務委託でも、働き方の実態が労働者なら、労働基準法などの労働関係法令が適用されます。時間や場所を細かく指示され、断れない仕事を割り振られているなら、実態は雇用に近いといえます。
職業安定法の指針は、労働者の募集と、請負契約の受注者の募集が混同されないように表示することを求めています。営業が中心の仕事を事務職と書くような、実際の仕事と大きくかけ離れた職種名も使えません。見分け方は怪しい求人の見分け方にまとめています。
\ 3か月続けたら、91日目に手当 /
継続手当つきの求人を探す歩合給でも保障給と最低賃金が要る
雇用契約で働くなら、歩合給の求人にも2つの下限があります。労働基準法の保障給と、最低賃金法の最低賃金です。
労働基準法27条の保障給
労働基準法27条は、出来高払制その他の請負制で使う労働者について、使用者は労働時間に応じて一定額の賃金を保障しなければならないと定めています。歩合給はこの出来高払制に当たります。
保障する額は法律に書かれていません。厚生労働省の資料は、通常の実収賃金とあまりへだたらない程度の収入が確保されるようにする趣旨だと説明しています。
最低賃金と比べる方法
歩合給も最低賃金の対象です。厚生労働省は、歩合給の総額を、その計算期間に働いた総労働時間で割り、時間あたりの額にして最低賃金と比べるとしています。時給と歩合を組み合わせる場合は、それぞれを時間あたりの額にして足します。
東京都の最低賃金は、2026年10月1日から1,280円です。東京都で次の2つの例を比べてみます。
- 歩合だけの例:1か月に40時間働き、アポ1件3,000円で10件取った。歩合は30,000円で、40時間で割ると1時間750円
- 時給+歩合の例:時給1,300円で40時間働き、アポ1件1,000円で10件取った。歩合10,000円を40時間で割ると250円で、合わせて1時間1,550円
歩合だけの例は、1時間750円で最低賃金の1,280円を下回ります。雇用契約なら、会社は最低賃金との差額を払う必要があります。時給+歩合の例は1,550円で、最低賃金を上回ります。
- 750円歩合だけの例30,000円÷40時間
- 1,280円東京都の最低賃金2026年10月1日から
- 1,550円時給+歩合の例1,300円+250円
1か月40時間・アポ10件の例。出典:厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」
ノルマと罰金
アポの件数にノルマがあること自体は珍しくありません。ただし、ノルマに届かなかった分を給与から引いたり、罰金を払わせたりする決まりには注意が要ります。労働基準法は、賃金を全額払うこと(24条)と、労働契約の不履行について違約金や損害賠償額を前もって決めることの禁止(16条)を定めています。
テレアポは意味がないと言われる理由
長期インターンのテレアポは意味がない、という声もあります。理由として挙がるのは、次のような働き方です。
- 台本を読むだけで、断られた理由を振り返る時間がない
- 評価がかけた件数だけで、話し方を直す機会がない
- 何か月たっても電話だけで、商談の準備や同席に広がらない
- 給与が成果だけに連動していて、収入が安定しない
反対に、断られた理由を記録して台本を直す、アポを取った商談に同席する、といった流れがあれば、得られるものは変わります。就活で話すときも、件数より、何を変えて結果がどう動いたかが材料になります。書き方は長期インターンをガクチカにする書き方で説明しています。
面接では、台本を誰がどの頻度で直しているか、アポを取った商談に同席できるか、1か月目と3か月目で仕事がどう変わるかを聞くと、その会社のテレアポの位置づけが見えてきます。
電話勧誘のルール
会社が個人に電話をかけて商品やサービスの契約を勧め、申込みを受ける取引は、特定商取引法の電話勧誘販売に当たります。電話をいったん切った後に、相手が郵便や電話で申し込む場合も含みます。インターン生がかける電話も、会社の勧誘として扱われます。
消費者庁の特定商取引法ガイドは、電話勧誘販売の主なルールを次のように説明しています。
- 勧誘の前に、事業者の名称、勧誘する人の氏名、商品などの種類、契約の勧誘が目的であることを告げる
- 契約しないと意思を示した人に、勧誘を続けたり、もう一度勧誘したりしない
- 契約したら、価格やクーリング・オフなどを書いた書面を渡す
- 事実と違うことを告げない。わざと事実を告げないこともしない。相手を威迫して困らせない
一方、相手が営業のために、または営業として結ぶ契約は、特定商取引法の適用から外れます。会社の担当者に営業のための契約を勧めるテレアポは、こちらに当たります。それでも、相手を誤解させる話し方を求められたら、続けるかどうかを考え直します。
電話で誰に契約を勧めるか
出典:消費者庁「特定商取引法ガイド」
向いている人と応募前の確認
営業インターンが合いやすいのは、断られても次の電話に切り替えられる人、件数や割合で自分の仕事を振り返るのが苦にならない人です。人と話す仕事を就活の前に試したい人にも向いています。
反対に、電話で断られ続けることが強い負担になる人は、最初から商談の資料づくりや顧客リストの整理が中心の求人を選ぶ方法もあります。同じ営業部門でも、電話の量は求人によって違います。
応募の前には、求人票と面接で次の点を確かめます。
- 雇用契約か、業務委託契約か
- 時給の額と、歩合の計算方法(何が1件になるか)
- ノルマの有無と、届かなかったときの扱い
- 電話の相手が会社か個人か
- 台本や研修があるか、商談の同席まで広がるか
時給は勤務地の最低賃金以上でなければなりません。歩合がある場合も、時間あたりの額で最低賃金を下回らないことを、初めての給与明細で確かめます。
Day91は、有給の長期インターンだけを載せる求人サイトです。載るのは、90日続けると91日目に企業から1万円以上の継続手当が出る求人だけです。手当は企業が自社の制度として直接払い、Day91はお金を預かりません。
この記事は、2026年10月2日時点の法令と、厚生労働省・消費者庁の公表資料をもとにした一般的な説明です。契約の内容や働き方の実態によって扱いが変わることがあります。個別の状況は、総合労働相談コーナーや労働基準監督署、消費生活センターなどに確認してください。



